プロジェクト概要
本件は、創業45年の地域工務店が「世代交代」「採用強化」「官公需対応」に向け、視覚面の一貫性と伝達力を高めるために取り組んだCI刷新です。口コミと紹介で成長してきた企業が初めてデザインに体系的に向き合い、「内在する価値」を「外部が理解できる構造」に翻訳することを目指しました。

背景と目的
会社の成り立ち
Tanigawa Construction Inc. は1978年創業。基礎工事から始まり、住宅・小規模公共工事へと実績を広げてきました。口数は少なく、派手さもない。しかし、クレームの少なさと現場での信頼は厚い──そんな評判が積み上がってきた企業です。
地域性と顧客層
松本市と周辺エリアの施主・設計事務所・協力業者が主なステークホルダーです。車移動・紙文化が根強く、一方で見積・入札・採用は徐々にデジタル化。現場はアナログ、調達はデジタルという二面性が存在します。
直近3年の課題
旧ロゴが低解像度で印刷時に滲む/Webでは粗く見える
名刺・封筒・看板・車両の意匠がバラバラで統一感がない
採用市場で「古い印象」を与え、若手の応募率が低調
行政・元請けへの提出書類で見え方に一貫性がなく、信頼形成の機会を逸失
刷新のトリガー
世代交代と採用強化のタイミングで、社内から「見え方を整えたい」という声が自然発生。ロゴ刷新単体ではなく、「伝える構造」としてのCI全体設計に踏み込む決断がなされました。
アプローチ
ヒアリング設計
まずは「何を守り、何を変えるか」を明確化するため、経営・現場・協力会社の三者ヒアリングを実施。現場の語彙で語られた価値を、デザインの語彙へ橋渡しすることを重視しました。

ステークホルダー
創業者・現社長:企業観・意思決定の軸
現場管理・職人:運用と可読性の要件
協力業者:看板・車両・備品の適用可否
抽出インサイト
初期仮説
“Quiet Presence(静かな存在感)”をコアに、装飾ではなく「重心・線質・余白」で信頼を担保する方向が妥当と判断。
コンセプト策定
現場のリアリティを損なわず、公共空間でも馴染む抽象度を設計。幾何の規律と手仕事の体温、その中間のバランスを狙います。
価値の言語化
トーン&マナー
角張りすぎない幾何
高コントラストでなく中庸な濃度設計
大声で主張せず、読まれる位置で機能する
デザイン原則
デザイン仕様
ロゴシステム
ロゴは構造記号を想起させる「T×C」の交差を核に設計。手描きの筆圧ニュアンスをミニマルに留め、拡大縮小・反転・単色運用に強い骨格を用意しました。
種別 | 用途 | 備考 |
|---|
メイン横組 | 名刺・封筒・Webヘッダー | 文字読解優先。最も汎用。 |
メイン縦組 | 看板・紙面の縦組 | 新聞広告・社外掲示向け。 |
モノグラム | ヘルメット・作業着・アイコン | 12mm相当でも判別可。 |
英語版 | 海外協力会社・案件書類 | “Tanigawa Construction” 表記。 |
バリエーション展開
単色・反転・グレースケールを標準提供。屋外高輝度環境と暗所での視認テストを行い、最小線幅を定義しました。
微調整ガイド
禁止事項
色勝手変更(企業カラー以外の使用)
輪郭にアウトライン効果付与
ドロップシャドウ等の装飾
縦横比の改変・変形
タイポグラフィ&カラー
見出しは力強く、本文は読みやすく。和欧混植環境でも破綻しない組版を優先しました。カラーは「森林の深度」を主色に、汚れ・退色・照度変化に耐える濃度で設計。